サイボウズ株式会社〜Professionals for Owners  オーナーを支えるプロフェッショナルたち~

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経済・ビジネス

社長に就任するも、あれこれ手を出し迷走…
2年後、グループウェアに命をかけることを決意

2005年に代表取締役社長になられたのは、どのような経緯からでしょうか?

代表の写真創業者の一人が社長を務めていたのですが、彼が突然辞めると言い出して、「じゃあ僕がやりますわ」と引き受けました。
2000年に上場して正社員も100人近くいましたし、もう一人の創業者は技術者なので彼を社長にさせるわけにはいかなかったので、自分がやるしかないという責任感からです。
この会社のことは自分が一番わかっているという自信だけはありましたが、いかんせんノリが軽かったですね(笑)。
社長の責任の重みもわからないまま、経営哲学も何もないまま、企業経営のど素人が社長になってしまったわけです。
そこから2年間は修羅場でした。

社長就任後、どのような方針で経営をされたのでしょうか?

とにかくぐんぐん伸びていく成長企業にしたいという思いが強かったですね。
M&Aによる成長が前社長の方針だったので、それを引き継いでバンバンやるぞと考えていました。
買収案件は驚くほどたくさんあったので、買収先の企業や事業のことをよくわからないまま適当に買っていました。
財務諸表も読めない、グループウェア以外の事業はよくわからない、という状態で、我ながらひどかったですよ。

当時は、楽天やライブドアといった新興企業がM&Aで急成長していました。
それを目の当たりにして、B to BのソフトだけでなくB to Cも含めて広く仕掛けないと、規模を大きくしないと、生き残れないかもしれない…そんな危機感から、ファイナンスをしながら次々と買収していました。

転換期はいつどのようなかたちで訪れたのでしょうか?

代表の写真経営哲学もマネジメント力も知識もないままにM&Aをして、買ったらあとはよろしくと他人頼みにしていたのですが、そんなことをしているうちに、気づけば本業のソフト開発事業も火の車となっていました。
GoogleやMicrosoftなどがグループウェアに参入してきたこともあり、伸び悩んでいたのです。
世界的な大企業が乗り込んできて、数年後にはお客さんをみんな持っていかれてしまうのではないかと、生きた心地がしませんでした。

そんな状況だったので、自分が社長をしている間はグループウェア一本で行くと気持ちを切り替え、買収した他事業は思い切って売却しました。
Googleが来ようがMicrosoftが来ようが、彼らよりもいいものを作る。
そこに命をかける。そう決意をしました。
2006年末頃のことです。

決意されたとき、社長自身はどのようなお気持ちだったのでしょうか?

グループウェア以外の事業を買収してみたものの、結局のところは全然興味が湧かなかったので、改めて自分は“グループウェアオタク”なんだと認識しました。
楽天の三木谷さんのように、買収していろいろと組み合わせられる人ならいいのですが、私はそうじゃない。
時代の流れに翻弄されず、我が道をブレずに行こうと思い直しました。